2020年度実施予定ということは、つまり、2015年6月現在に中学1年生である生徒からに直接関係のあるお話です。(現在の中学2年生、3年生なども浪人などを考慮すると、この過渡期の混乱に直面する可能性があるわけですが、直近実施されたセンター科目の新過程への切り替え時の対応と同じように、少なくとも1年は経過措置として旧形式の出題もあると考えられます)
以下、yahooニュースより、関連記事を引用致します。記事全文はリンク先にてご参照ください。
長文、記述で思考力判定=複合科目やパソコン受験も―大学入試新テスト素案・文科省 時事通信 6月18日(木) 16時46分配信
文部科学省は18日、現行の大学入試センター試験に替えて2020年度から実施予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の素案を明らかにした。問題の長文化や記述式解答の導入で、生徒の思考力を評価する試験方式に改める。
第一感、「変革のための変革」である気がしてしまう。変えるために変える(ポーズをとる必要がある)のであって、教育の根本たる「目指すべき姿」が見えてこない。非常に場当たり的だ。
現行のシステム(センター試験+大学独自の二次試験)は、一次と二次でお互いにカバーすべき学力も出題哲学も解答形式も異なっていて、ある意味非常にバランスがとれていると考えています。あえて、こねくり回してこのバランスを変化させる必要性を感じない。各大学が「一次試験」としてこの新テストを使うことを想定しているのならば、尚更、記述・論述偏重するのはナンセンスではないか。ましてや50万人を越える受験者の記述・論述を採点するためにコンピュータ自動採点を利用するなど、実現可能性が微塵もあるとは思えない。利権の臭いしかしません。
センターの出題は、あくまで学習要領の範囲を決して逸脱しないという制約の中で、問題形式や難易度、分量に非常に工夫が見られて、高校時点での基礎学力を測る上で、これ以上ないくらい良質な問題の宝庫になっています。だから私は、基礎力完成の目安と確認のために必ずセンター過去問を使用しますし、難問奇問を排して且つ必要な知識を網羅したセンター演習を通して、生徒は実際に大きく力を伸ばすことができます。
改善・改革は常に必要です。それは間違いない。学際的な出題を増やす方針などは正しいと思う。しかし、共通一次時代から現在までに蓄積され、熟成されたこのような良質なノウハウを一蹴してしまうのは、ゆとり教育導入失敗と同じ轍を踏むことになるのではないか。