【必要ならば早目の対策を】
大学受験を視野に入れて学習を進める場合、受験に際して漢文が必修なのかそうでないのか、まず判断する必要が有ります。不必要であればこの先を読む必要はありません。厄介事が一つ減り、他の科目の学習にまわす時間が増えたことを喜びましょう。しかし必要であるのならば、必ず気をつけなければならない点があります。それは「早めに高校の学習内容を総ざらいしてしまうこと」です。
漢文で問われる内容の総量は、他の科目と比較するとそれほど多くありません。従って、学習に必要な時間も全くいらない訳では有りませんが、相対的に短時間でよい、ということになります。ここが落とし穴です。「そんなに量が多くないから、後でやっても何とかなるんじゃないかな」。この手の甘い考えは今すぐ捨て去るべきです。
【差をつけられてはいけない】
学習する内容が少なくて良いということは、知識の総量よりも、それらを如何に高い精度で身につけているのか、ということが勝負になってきます。従って、学習も早い段階でそちらの方向へシフトしていく、具体的には問題集、過去問を通じて実戦練習をどんどん積み重ねていくべきなのです。きっちりと学習しておけば落とさないような点を落として、ライバルに差をつけられると、それが致命的な差になるくらいの感覚でよいくらいです。
漢文は「いかに加点できるか?」よりも、「いかに失点しないか?」という発想を常に忘れないようにしましょう。
【句形を覚え、予行演習の反復】
とはいえ、確実を期すために貴重な学習時間を割き過ぎるのは考えものです。学習内容の総量に見合うように、配点も少ないわけですから、見返り以上の労力を費やす必要はありません。ですから、いかに効率的に学習できるか、ということを考えて計画を練りましょう。このあたりのさじ加減は結構難しいかもしれません。
いずれにせよ、まず漢文を学ぶ上で身につけておきたいのは、「訓読の基礎」と「基本句形」の二つです。全体を読むために必要な基礎力と、ピンポイントで狙われやすい句形の両方をしっかりと抑え、基礎力をつくります。学校で配布されている副教材、あるいは読みやすく、説明が理解しやすい薄めの参考書などを選んで、一番最初の足がかりとしましょう。
このとき、古典的名著などと言われすぎるものを選択するのは賢明では有りません。漢文の原則は変わりませんが、出題のトレンドは少しずつ変化しているので、できるだけそれらが反映された、新しいものを選んでください。また、古い本は漢文に少しでもアレルギーを持っているならば、やる気を失うほど読みづらいこともあります。
基礎を作ったら、後は現状のレベルから開始して、目標レベルまで段階的に難易度を引き上げつつ、問題集を選択してこなします。難易度が上昇していくと、基礎用の参考書では解説が追いつかなくなってくるかもしれません。そうなったら、より内容の充実した参考書へアップグレードしていきましょう。
勝負は基礎力をどれだけ早く身につけて、予行演習へ入っていけるか、になります。予行演習をこなせずにぶっつけ本番、という形にならないためにも、学習計画をしっかりと立て、学力と目標に合致した、適切な参考書を選んでいきましょう。