【最低限度のハンドブック】
『ステップアップノート10』と並び、河合出版が販売する漢文参考書の中でも、ビギナー向けの一冊です。本書の前言に書かれている通り、受験で最も大切、かつ基本的な問題においては直接得点に繋がりやすい、基本句形・重要単語と、最低限の知識を持っていないと太刀打ちできない漢詩、故事成語をコンパクトにまとめたものです。中でも、「特に力を注いだ」と言う基本句形と重要単語については、ポイントを抑えてしっかりと解説がなされています。
【何に使うのか】
わずかに164ページで構成されるこの薄い参考書には、確認のための問題集や、気の利いたユーモアに富んだコラムなどは一切付随していません。本当に必要なことだけが凝縮された本です。これを何に使うのかと言えば、常に机の傍らに置く、もしくは携帯して、漢文の問題を解いた後の確認時、また分からないことが有った時、どうしても思い出せない事項が有った時などに、さっと該当のポイントについての解説を読んで自分の知識の再確認・補強に使用するのがよいでしょう。
文法書として頭から読み込んで暗記用に使う!というのも良いでしょうが、そうした用途には、むしろドリル、問題を同時にこなせる『ステップアップノート10』の方が向いているでしょう。この本は勉強の合間、後で「何かを思い出すとき」のガイドという位置づけで良いと思います。
【本当に必要か?】
とはいえ、この本に重要事項として並べられている内容は、少なくとも高校の授業で学習する内容ばかり、つまり、高校の副教材などとそう大差ない、というのが現状です。ですので、優先度は決して高くはなく、無理して買わなければならない参考書ではありません。
この参考書が必要なのは、「学校の教材が今ひとつしっくりこない」「ゼロから自分で漢文の学習をしたい」人であろうと思われます。そういった意味では、思いの外ニッチな用途の参考書かもしれません。