【古文の受験参考書と言えば、これ】
古文の受験参考書というカテゴリにおいて、長く支持され、版を重ねてきた人気の参考書です。直近では2015年6月に改訂されました。著者の望月氏は、幅広く受験参考書を手掛けておられますが、よく書店で見かけるものは、比較的平易に著述されたものが多く、極端にハイレベルな方面に特化したものはあまり見かけません。この辺り、古文が苦手、あるいは古文はセンター試験くらいまででよい、という方のニーズに応えておられる、と言えます。
また、望月氏の説明に納得がいくようであれば、各学習段階で必要な参考書を同じ著者の参考書で揃えられる利点があるのも見逃せません。
【語り口調が続く、実況中継スタイル】
さて、本書は古典文法にフォーカスした参考書です。「文法解説」などというと、なんとなく堅苦しいイメージを持ってしまいがちですが、この本では、予備校の講師が講義で話しているように、基本読みやすい語り口調で全ての文章が構成されています。
(もちろん文体が読み手の感性に合う合わないはあるにせよ)ごく基礎の段階から、大学受験で必要と考えられる文法事項を、「かんでふくめるように説明」してくれているので、非常に気楽に読み進めることができます。難関と称されるような一部の大学・学部を目指すのでなければ、必要な知識を十分に与えてくれることでしょう。初学者が標準程度までの学習の基軸とする文法書としては、ベストの選択の一つです。
【定着の手段と検索性は?】
流石に懇切丁寧に説明してくれている内容は分厚く、非常に頼りになる参考書なのですが、重点的に解説部分に力を入れているため、理解した内容を定着させるための演習問題などは薄くちりばめられている程度です。従って、問題集等は必ず別に準備しておきましょう。
また、学習を進めていく内に、「あれはなんだったっけ?」「これはどういうことだったっけ?」と、文法の重要事項を確認したい時、豊富な本文中から目的のポイントを見つけ出し、改めて確認のために解説を読むのに若干手間どるレイアウトであったのが、これまで本書の明らかな弱点でした。要は「勉強中にすぐに使いづらい」という検索性の低さが問題だったわけです。
この点、最新の改訂によって、本文を二段組みにして内容を把握しやすく、読みやすいようにしたことと、巻末に本文中で解説された重要文法事項の総まとめを添付したことで、対策を行っています。ですので、入手するならば古本で旧版を買うよりは、使い勝手を向上させる工夫がされた最新版をおススメしたいところです。
このように依然として進化を続けている辺り、これからもまだまだ頼れる参考書であり続けるだろうと思います。古文の学習を始める方が最初に手に取る参考書を選ぶにおいて、是非候補として考えてもらいたい参考書です。