慶応義塾普通部・高校の学習指導内容の分析
人気・実力共に大学附属校系一貫校のトップに位置する、慶應義塾大学附属の伝統ある男子校。日吉キャンパス付近に位置するのがこの普通部と「塾高」の名で親しまれる慶應義塾高等学校。三田キャンパスにあるのが中等部(共学)と慶應義塾女子高で、藤沢の湘南藤沢SFC中高、埼玉の志木高、ニューヨーク学院と共に系列校を形成しています。
高校入試・大学入試対策に煩わされない独自の学習内容と自主性・主体性を重んじることが特色です。
入試対策用に知識をどうしても前倒しで入れ込んでいく通常の一貫校とは異なり、早期から論理的思考力・表現力といった、主に大学の教養課程で身に付けるような能力を養うカリキュラムが多いです。代表的なのは、週で提出が課される理科の実験レポート・フィールドノートで、早いうちから実験考証をしてレポートとしてまとめる論文作成に近い体験を数多く行います。
かといって、通常のいわゆる「負荷がかかる各科目の勉強」は決して疎かにはできません。提出課題や定期テストは大学への内部推薦基準になっている評定に大きく影響します。後述しますが、慶應義塾大学の希望の学部に推薦されるためには、高1から3年間の評定平均が基準とされ、継続的な努力が不可欠になる(特に「医学部」をはじめ人気学部の推薦を勝ち取る席争いは熾烈です)。一般的に、高2まで部活動等に専心していて成績は下位に低迷しているが、高3で急に覚醒し難関大学に合格していく生徒は数知れないのですが、塾高の場合にはそれは通用しないわけです。一発逆転方式が効き難いからこそ、入学当初から地道で秀才的な勉強が求められていることを強く意識しないと、後で泣きをみることになってしまうのです。
塾や予備校は基本的に不要です。特殊な教材やカリキュラムも多いため、一般の塾・予備校等では定期テスト対策がおぼつかないばかりか、内部進学サポートのノウハウもほとんどないでしょう。成績を上げようとして塾や予備校を追加して負荷を加算させてしまい、どちらも消化しきれず逆に低迷してしまうパターンには本当に要注意です。
慶応義塾普通部・高校の内部進学状況の分析
中学から高校への内部進学については
・厳しくはないが、主体性を重んじるため補習的なサポートは少ない
です。高校入学後に最難関級の高校入試を突破してきた外部進学組の精鋭たちと評点を争わなければならないことを鑑みても、特に「積み上げ型」の科目である英語や数学などに不安がある場合は、遅れてしまう前に早目の対策が必要になるでしょう。
高校から大学への内部推薦については
・3年間の全教科(芸術選択や体育等も含む)の評定平均を推薦の基準とする
・評定平均の上位から順に希望の学部へと推薦される
・特に医学部への推薦は、塾高の場合上位20人程度。評定8.5~9.0以上(10段階評価)を必要とする
となっています。細かい内部推薦基準のアルゴリズムは系列高校によって少々の差異があり、公示されていないところもありますが、概ねこの通りです。理工学部も次いで希望が多く、文系では看板の経済学部や法学部が、要求される評定基準が高くなっています。前述したように、高校3年間の全ての評定が平均されるので、高3から一気に逆転がききません。なので、特に上記のような希望の学部に入りたいという場合には、決して手遅れにならないように高1から継続的に地道に勉強を重ねて、評定を維持・上昇させる努力が必要です。ここが、受験を前提とした一貫校との最大の違いです。医学部に限っては、他大学の医学部と重複受験が出来ますが、慶應大学の他学部への推薦を受けることは出来ません。絶対に医学部だと決めたら、退路を断って勝負に臨むことになります。
慶応義塾普通部・高校の生徒のための基軸戦略
基本戦略は、まず何よりも、評定を意識して学校授業・定期テスト及び提出課題をキッチリこなすことです。それが直接的に希望学部への内部推薦につながるよう導線が敷かれています。
授業の中には教員の個性が色濃く反映され、大学の教養課程並みのレベルであったり、特定分野に傾倒したものであったりすることも大いにあり、そういった教員の科目にも柔軟に対応して、評定を獲得する必要があります。
しかし、附属校の生徒の場合は特に、大学受験への意識が薄い分、継続的で地道な学習がなかなか難しいのが本当のところ。ある程度の中学高校受験燃え尽き症候群もあって、小テストや定期テスト対策を疎かにしていると、周囲の生徒がハイレベルであるという環境と相俟って、すぐに成績が低迷してしまいやすいです。そうなると、挽回への意欲も失われがちになり、一番大切な「自信」と「やる気」を失ってしまう。
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慶応義塾普通部・高校の各教科別指導内容の分析
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