第一回 英語の資格、その特徴や違いをまとめました - TOEFLって受けた方がいいの?
TOEFLって受けた方がいいの?
概要
非英語圏の人の英語コミュニケーション能力をはかるため、1964年にアメリカのNPO団体であるETSによって開発された。全世界共通で開催されているが、日本ではCIEE(国際教育交換協議会)が窓口となって運営している。
その目的を「英語圏の大学への留学・研究を希望する非英語圏の外国人の能力を測定するもの」としているため、出題傾向が「大学での講義を受ける、レポートを作成する」といったアカデミックな内容になっている。また、語彙においては、日常会話レベルから、アカデミックな自然科学や歴史、教養の範囲まで対策する必要がある。このため、非英語圏であり、英語圏の学校制度や文化にも明るくない日本人にとって、その難易度は非常に高い。
受験料は230ドル(レートの変動によるが、日本円でおよそ20,000円~28,000円が目安)。
試験区分
- TOEFL iBTテスト
インターネット形式で実施される。Reading(60~80分・12~14問)、Listening(60~90分・11問)、Speaking(約20分・6問)、Writing(20分と30分ずつ・2問)を、パソコンを用いて解答する。Speakingは面接形式ではなく、指定秒数で文章を考え、パソコンに向かって指定秒数以内にスピーチをする解答方式である。
2014年時点で、年30~40回程度実施されており、開催日は月によって異なるが、基本的には土日に行われている。
- TOEFL PBTテスト
ペーパー形式で実施されるテスト。インターネット形式でのテストが利用できない地域でのみ実施されており、段階的に廃止されることが確定済み。日本では2012年に実施が終了している。
- TOEFL ITPテスト
団体向けテストプログラム。マークシート形式。
TOEFL PBTテストのために作成されたテスト問題を受け継いでいるが、ITPテストにおいては、難易度の異なる二つのレベルのテストがあり、TOEFL PBTと同等のテストをLevel1(スコア310~677)、時間を短縮し、よりやさしい問題で構成したテストをLevel2(200~500)としている。Level1の構成は、Listening(約35分・50問)、Structure and Written(語法・文法)(25分・40問)、Reading(55分・50問)。Level2の構成は、Listening(約22分・30問)、Structure and Written(語法・文法)(17分・25問)、Reading(31分・40問)。
このスコアは公的なものではなく、各所属団体の内部で活用される。このため、個人で受験を希望すること、受験者を一般公募することは禁止されている。具体的な活用方法としては、大学・大学院、企業等のクラス分け、習熟度測定、留学プログラム・海外勤務選考などに用いられる。ただし、先にも述べた通り、ITPのスコアは公的ではなく、留学先の機関等で求められるのは公的(PBT)なスコアであることが多いので注意すること。
他の検定との違い
TOEFLは受験に有利なのか。
CIEEが発行した、2012年度テストスコア利用実態報告書では、日本の大学のおよそ4割が何らかの入学試験に利用していることが分かります。
ただし、主にAO入試・外国人留学生入試・各種推薦入試・帰国子女入試での利用が8割に近く、一般入試での利用は1割以下です。最近の大学受験では、TOEICとTOEFLのスコアを出願条件としている(英検を対象外とする)ことはありますが、TOEFLのみという大学はごく少数です。勿論TOEFLで高スコアを取得できる生徒は、高い英語能力を有していることは間違いありませんが、TOEFLを受験していないから不利だ、遅れている、と慌てないようにしてください。
TOEFLを無理に受ける必要はない。
日常会話では用いないアカデミックな教養や語彙力が必要、かつ小論文や要約問題もあるため、非英語圏の日本人にとってはかなり難度が高いと言えます。
勿論、TOEIC等よりも世界規模で受験者が多く、そのスコアは国際的に広く利用できるという点は、確かなメリットです。また、取り上げるテーマなどは、学術に対する知識や興味関心をいかに持っているか、といった内容もあり、これらは難関大学の入試、特に推薦やAO入試などの面接につながる部分があります。
このため、2014年時点では、英語圏の大学への留学を検討している人や、より高い実用的な英語のスキルを示したい人に向いています。将来を見越して受験したとすれば、よいアピールポイントになるでしょう。そのような目標がない人が、TOEFLの受験を強行する必要はありません。
今後の動向には注意が必要。
しかし、2014年10月に中央教育審議会が、大学入試改革の答申案を行い、大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」において、TOEFLなど外部の資格検定試験の活用も検討するとしたため、今後の動向次第では、対策を視野に入れる必要があるかもしれません。
補足
受験の際の身分証に注意。できればパスポートの準備を。
身分証明書が必要であり、かつ厳格なので注意してください。パスポート以外だと、写真付き住民基本台帳カード、運転免許証、写真とサイン付の学生証、作成身分証明書(ETSが規定した所定の項目を指定した学校が発行したもの)などを、二点組み合わせなければなりません。国際的な試験であることに加え、元々が留学希望者向けのテストのため、パスポートが無いケースを想定していないと考えられます。準備に手間取ることや、不備があるリスクを考えると、できればパスポートを用意することが望ましいでしょう。
公式サイト:身分証について
TOEFLのスコアの有効期限は2年間。
TOEFL iBTの有効期限は2年以内となっています。
公式サイト:TOEFLの有効期限について
また、提出先がもっと短い範囲を指定している可能性もありますので、最初に調べることが大切です。